ジェネレーションギャップはなぜ起こる?
世代が異なる人たちが集まる職場では、ジェネレーションギャップが必ず起こります。生まれた年代によって価値観が違うため、当然考え方や感じ方も変わるのです。
例えば、ある程度年上の世代にとっては、仕事中に紙にメモを取るのが当たり前だと思っていても、若い世代は紙にメモを取らず、スマホを取り出して写真を取り終了します。
年上の世代からすれば、仕事中にスマホを取り出すなんて…とびっくりしてしまうかもしれませんが、若い世代からすればメモを取るよりも効率的であると考えています。
どちらの年代もそれぞれを「当たり前」と思っているので、相手に対して「なぜ?」というギャップが生まれてしまいます。
ジェネレーションギャップは、どちらが正しい、悪いという問題ではなく、それぞれの世代が、それぞれに常識的な行動を取っているので、必然的に起こり得るのです。
職場でのジェネレーションギャップの問題
職場でのジェネレーションギャップは、さまざまなシーンで発生します。笑って終われば良いですが、うまくコミュニケーションが取れず、悩んでしまうこともあるでしょう。
ここからは、職場でよくあるジェネレーションギャップについてまとめました。
報告の仕方
報告の仕方には、電話やメール、直接会って口頭で報告するなど、さまざまな方法があります。年上の世代の人にとっては、よっぽどのことがない限り、直接報告するのは当たり前と思う人も多いのではないでしょうか?
しかし、若い世代の人は、口頭での報告が少ない傾向にあります。今の若い世代の人は、SNSツールが普及した環境で育っているので、LINEやチャットでの報告がスムーズに感じます。
業務報告を口頭でするのが当たり前の世代から見れば、「大事な報告なのだから、直接報告するのが普通だろう」と怒りたくなる人もいるでしょう。
一方で、若い世代の人は常にチャットツールの通知を意識する習慣があるので、通知があればすぐにチェックします。だから、年上の世代にチャットを使って報告しても、すぐ気付いてくれると思っているのです。
さらに、口頭での報告は、逆に上司に時間を取らせてしまって申し訳ないとさえ思っています。決して上司と話したくないから口頭で報告しないのではなく、上司のことを考えた上での行動なのです。
注意の仕方
年上の世代では、厳しく注意されながら仕事を覚えた人も多いですが、若い世代に厳しく注意することは効果的な育成方法ではない可能性が高いです。
パワハラや虐待などの言葉に敏感な中で育ってきた若い世代にとって、厳しく叱ることは、パワハラと捉えられてしまう可能性が高いのです。
また、親にも学校生活でも怒られずに育ってきた人が多く、少しミスを指摘しただけでも、ひどく落ち込んでしまう人もいます。
若い世代の人は、基本的に怒られ慣れていないので、少し注意しただけのつもりでも「怖い」と感じて萎縮し、本来は成長の糧になるはずであったものが逆効果になってしまうこともあるのです。
定時帰宅
若い世代の人は、仕事とプライベートをはっきり分けている傾向にあります。そのため、仕事は定時までしっかりやって、定時退社してプライベートを楽しむという考え方の人が多いです。
年上の世代の人の中には、目標が達成できるまで残業する人や、ほかの人が残業しているなら自分も会社に残るのが当たり前と思っている人もいますが、若い世代にその考えは通用しません。
決して悪気があるわけではなく、上司が残業して頑張っているのに帰りにくいといった考えそのものを持っていない可能性も高いのです。
飲み会
上司が親睦を深めるためや、頑張っている若い世代を労おうと飲みに誘っても、断られた経験がある人も多いのではないでしょうか。
若い世代の人は、飲み会の文化に慣れておらず、人間関係にもとても敏感です。信頼関係が構築できていない人と深く関わりたくないと考えており、断る人が多いようです。
年上の世代の人にとっては、飲みに行くから親睦が深まると考える人が多いですが、若い人は、仲が深まっていない人と飲みに行くのは不安に感じます。
職場でのジェネレーションギャップ問題を解決するには
そもそもの考え方が違うので、ジェネレーションギャップを社内からなくすことは不可能です。しかし、ジェネレーションギャップがあったとしても、次のように取り組むことで信頼関係を構築し、上司と部下の関係を良好にできます。
共感力を身に付ける
共感力とは、相手の生まれた時代背景を理解しようとするスキルを指します。共感を心がけることで、そのとき取るべきコミュニケーションを考える力も身に付きます。
それに、日々ジェネレーションギャップのストレスをそのまま感じて消化できずに業務にあたっていては、心身ともに疲弊してしまいます。ちょっとした心がけで、ギャップによって発生する問題も最小にとどめることができるでしょう。
ルールをつくる
「当たり前」や「常識」とお互いが思っていて、ギャップが生じている項目は、ルールを設けておきましょう。
例えば、目標を達成できなくても必ず定時退社する若い世代には、目標を必ず達成するという意識付けをします。
具体的には、年間目標から月ごと、毎日の目標を上司と部下一緒に定めることで、決めた目標は必ず達成するという意識を持たせましょう。
ただ単に目標を決めさせるのではなく、なぜその目標になったのかの意味をしっかり考えさせます。また、進捗状況を必ず口頭で行う時間を設けることをルールにすることで、報告のジェネレーションギャップも起こりません。
そして、信頼関係を構築するためにもっとも必要なのは、日々のコミュニケーションです。毎日の挨拶や日々の報告などでコミュニケーションを取れる時間をつくることで、少しずつ信頼関係ができてきます。
雰囲気づくりをする
若い世代の人が、発言しやすい雰囲気づくりをするのはとても大切です。社内の雰囲気は、ほとんどの企業の場合、マネジメントの役割を持つ人物がつくっています。
例えば、「報告・連絡・相談」は必ずしなければならないというルールを設けていても、報連相しにくい雰囲気になっていれば、うまくいきません。
社内は、重要な業務を行っていることもあり、ピリピリとした雰囲気になりがちですが、若い世代が萎縮しない環境をつくることは非常に重要なことなのです。
とはいえ、年上の世代が多い職場では、なかなかこれまでの雰囲気や慣習を一気に変えていくことは難しく、全社員に浸透させるのにはかなり時間がかかります。
そんなときは、企業向けのセミナーを外注して、社内の雰囲気づくりや部下とのコミュニケーションを学べる機会を設けるのもひとつの方法です。
東京・ビジネス・ラボラトリーが行う企業研修では心理学のメソッドを取り入れ、企業が抱える悩みと徹底的に向き合います。
コミュニケーションは人間関係に直結すると考えるため、例えば社内にコミュニケーションのグランドルールつまり、全員が心がける基準を設定することをおすすめしています。具体的には、自分の希望を相手に伝えるときには「3時までにやっといて」ではなく「3時までにやってもらえると、私が嬉しいです]のように、アイメッセージを活用するといったことがあげられます。
このようなグランドルールを共通認識として社員全員がもっておくことで、各世代間でミスコミュニケーションが減り、気持ち良く健全なやり取りが可能になります。
会社全体で上司・部下への適切な接し方が身に付けば、ジェネレーションギャップによって起こる問題解決につながるでしょう。そして、社内にかぎらず、社外へも高いスキルで対応ができるようになります。
企業の経営サポート顧問・メンタル顧問なども担っている当社では、職場や人間関係におけるトラブル解決のカギはメンタルの仕組みだと考えます。相互理解をベースとした考え方をレクチャーし、組織運営の根本からの改善をサポートします。
まとめ
ジェネレーションギャップは、マイナスな面だけではなく、むしろギャップがあるからこそ、お互いに理解を深め合えるポジティブな見方もできます。
社内だけでは解決が難しい場合は、研修を外注するのもひとつの方法です。それぞれが気持ちよく働ける組織づくりを目指しましょう。