【ここが課題】管理職の育成がうまくいかない原因
管理職の育成が進まない要因が分かれば対策も立てやすくなります。
まずは、うまく育成ができていない原因について解説しましょう。
育成にリソースを割けない
そもそも、管理職育成のために割り当てる時間や人員が不足しているというケースがあります。
育成のための時間的、人的リソースを割けなければ、当然ながら管理職の成長は本人任せになりますので、思うような成果は期待できないでしょう。
もちろん、社員によっては昇進してすぐに力を発揮できるタイプもいますが、珍しいケースです。すべての人がそうではありません。
また、管理職育成にあたるときの熱意もそれぞれでしょう。経営者としては急いていても、現場で育成する現管理職側の育成へのモチベーションが低い状態では、思うように育成が進みません。
育成ノウハウがない
社内で管理職育成の経験がないなど、育成のノウハウがない場合も効率的に成長させることはできません。
適切な管理職の育成ができていないと、ポストに就いた後もプレイヤー意識のままで業務を遂行している可能性があります。
管理職といえども、実務やノルマのある仕事は多くあります。それと同時に部下にも業務を割り振り、コミュニケーションを取りながらときにはサポートに回らなければなりません。
しかし、プレイヤー意識が強いと部下へのサポートが疎かになり、自分主体となってしまうことが多くなるのです。この状態では業務の全体を見渡すことができず、形だけの管理職となるため、現場をうまく回すことができないでしょう。
また、会社にノウハウがない場合、そもそも管理職に適した人材を選定できていない可能性もあります。
管理職に必要な資質としては、ひとつの事柄から柔軟な考えや行動ができるなどバランス感覚が優れていることが重要です。具体的には、上司、部下のどちらにも誤解を生まない言葉の変換ができると、今後の経営ポスト候補としても心強い存在になるのではないでしょうか。
配置しようとしている社員が、本当に適した資質を有しているかどうか、しっかりと確認して任命しましょう。
【育成に必須】管理職が身につけるべき3つのスキルとは
管理職は、将来的に経営メンバーとなる、または経営メンバーとのかかわりが深くなる重要なポジションです。
この経営層と現場とをつなぎ、経営方針にしたがって業務を遂行する役割を担うには、以下の3つのスキルが必要とされています。
ロバート・カッツが1955年に提唱した理論ですが、現代でも成り立つため多くの企業で参考にされています。それぞれのスキルについて解説します。
テクニカルスキル
このスキルは、業務を進行するために必要な知識や技術のことを意味します。
業種によって求められるものは変わりますが、専門知識や分析力、ツールを使いこなすテクニックなどがメインです。管理職としては、業務のクオリティや期日を厳しく管理することも必須のスキルとなります。
このスキルは特に、プレイングマネージャーとして、業務とマネジメントを両立しながらも成果を上げる場合に重要視されます。チームのタスク管理を厳密にしながら、常に部下の見本として立ち振る舞うことでチームを牽引できるでしょう。
また、十分なテクニカルスキルがあるかどうかは、試験や資格によって評価することができますので、一定の基準を設けておくと良いです。
テクニカルスキルを育成するには、技術や知識習得を目的とした社内研修を実施するほか、外部で学ぶことでも汎用性や専門性を高めることができます。
ヒューマンスキル
こちらは対人コミュニケーションや部下のモチベーションの高さに関係するスキルを表します。テクニカルスキルだけではカバーできない、人間らしさが求められる部分を支えます。
また、経営層の意思を正しく理解して現場に伝え、スムーズに部下の業務へ落とし込んでいくためにも必要となるスキルです。逆に、現場から改善を求められた事柄に対して意見を汲み取り、経営層にその声を伝える際にもヒューマンスキルは活躍します。
つまり、現場と経営層をつなぐ役割として欠かせない能力といえます。現場と経営層の板挟みとなり、孤独感に耐えうるメンタルも必要となるので、特に難しさを感じるでしょう。管理職としての経験に関わらず、課題になることは多い部分です。
常に部下や経営層の意向や職場環境に目を向けながら、多くの意見に対して受容的に、温かく傾聴する姿勢が大切になります。
コンセプチュアルスキル
業務の進捗状況や部下の動きを管理するコンセプチュアルスキルですが、聞き慣れない方も多い能力でしょう。
組織のビジョンや方向性を概念化して、本質を的確にとらえることのできる力でもあります。コンセプチュアルスキルが高ければ、日々の流動的な業務の中でも何が必要か判断できるようになり、業務や企業の方向性を見失うことはありません。
管理する規模が大きくなるほどに必要性が高まるスキルでもあり、経営メンバーでは特に重視されるでしょう。
また、部下の状況を観察しながら、業務をとおして育成するためにも必要な能力ですが、従業員一人ひとりに伝えられる、伝わるスキルを身に付けるのは簡単ではありません。
効率的な管理職育成のためには、専門的な外部研修の利用も必要になるでしょう。
管理職を育成する取り組みの例
ここからは、管理職を育成する取り組みについて例をあげて解説します。
配置転換をする
配置転換は人事異動のひとつで、企業内で業務や勤務の場所を変えることを意味します。
これを経験やキャリアを積むための方法として活用し、管理職に任されるような大きな仕事を任せることで能力の向上を図ることができます。
新たな力を身に付ける可能性もありますが、同時にデメリットもあるため注意してください。
例えば、勤務地の変更は大きな負担になる場合もあり、離職につながるリスクもあるため慎重に行わなければなりません。特に現代はライフスタイルが多様化していますので、異動を受け入れられない従業員も多いでしょう。
また頻回な配置転換は、一定の業務に特化することが難しいというデメリットもあります。社員の状況や必要なスキルに応じた判断が必要になるため、慎重に検討しましょう。
戦略的な研修を実施する
管理職育成のためには、やはり研修は不可欠です。フレームワークと組み合わせるなど、戦略的で効率的な研修を実施する必要があります。
しかし、前述したように管理職に求められるスキルは多岐にわたり、社内研修だけでは時間的にも対応の限界があります。
そこで、外部機関に研修を依頼するのも方法のひとつです。管理職育成のノウハウを持つ人が指導に当たれば、管理職としての判断軸や感性を養いつつ、孤独に耐えられる成熟したメンタルを育てられます。
ただ、企業向けの研修会社もさまざまで、どこに委託すれば良いか悩む方も多いのではないでしょうか。
東京・ビジネス・ラボラトリーでは、心理学のメソッドを用いた企業向けセミナーを行っており、管理職育成のためのプランも用意しています。育成する側・される側への徹底的なヒアリングをもとに研修内容の組み立てを行うため、効果的な研修内容の実施が可能です。
また、どのプランにおいてもまずは自分を知ることに重点を置いていて、セミナーを受ける方自身の気付きを促します。ほかにも目的別に多くのプランを用意していますので、研修先をお探しの方は、ぜひ東京・ビジネス・ラボラトリーにお問い合わせください。
まとめ
今回は管理職の育成について解説しました。
管理職には業務やコミュニケーション、管理能力などさまざまなスキルが求められるため、社内だけで育成を完結するのは容易ではありません。
必要に応じて外部研修を取り入れることで、限られた時間でも効率的に将来を担う人材の育成ができるでしょう。