あなたは気づける?部下のストレスサインと解決法

部下を持つ上司にとって、部下のストレスサインは意識して見ておきたいものです。人間誰しもストレスを抱えているものですが、ストレスサインの見逃しは、離職の原因にもなってしまいます。 ここでは、ストレスを抱える部下のサインを見逃さないために、言動の変化や、その変化を見かけたときにどう対処していけば良いかについて解説します。


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部下のストレスサインを見過ごしてはいけない!!

社会人に取って、いかにストレスと上手く付き合っていくかは重要な課題です。しかし、まだまだ社会人経験が浅い若手の部下であれば、上手くストレスを解消しきれないこともあります。

ストレスを解消できないでいると、ネガティブな思考に陥りやすくなります。「自分にこの仕事は向いていないのかも」と考えてしまう人もいて、せっかく育ち始めていた優秀な部下であっても退職してしまう可能性もあるのです。

ストレスを抱える労働者は多い

毎日、多くの業務を抱えている労働者にとって、ストレスは切っても切れない関係です。実際に、厚生労働省が調査した結果、ストレスを感じていると答えた労働者は、58.0%で、約半数以上の人が仕事に対してストレスを抱えていることが明らかになっています。

仕事に対してストレスに感じている内訳を見ると、もっとも多かったのが仕事の質や量、次いで業務上の失敗や責任の発生などが挙げられました。また、職場の対人関係がストレスになっている人も多いです。

さらに、過去1年間に、メンタルヘルスの不調が原因で、連続して1ヶ月以上休業した労働者がいた職場の割合は6.7%というデータも、平成30年 労働安全衛生調査(実態調査)で出ています。

このデータは、受け入れている派遣労働者は含まれていないため、実際にはもっと多くの職場で、メンタルヘルスの不調が出ていると予想できるでしょう。

見過ごすと大切な人材を失いかねない

部下のストレスサインを見逃せば、生産性の低下が目に見えていることはもちろん、休職や退職を引き起こす可能性もあります。

このような事態になれば、採用に割いた時間や部下の教育してきた時間、コストなど、会社の損失にもつながりますし、部下の人生にも大きな影響を与えることになってしまうかもしれません。

大切な人材を失わないようにするためには、部下が心身ともに健康に働けるよう、メンタルヘルスケアを徹底的に勉強し、ストレスを抱えている兆候を知ることが大切なのです。

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【一覧】こんな言動の変化が、部下のストレスサイン

ここからは具体的に、ストレスサインの見分け方をご紹介します。ある程度のストレスは、誰しも抱えているものですし、同じ大人である部下に逐一、首を突っ込んで話を聞くのも気が引けます。

しかし、本人がストレスを上手く自分でコントロールできていない場合や、普段の言動絡みて変化が現れたときには、早急な対応をしなくてはなりません。

まずは、普段から注意深く部下を観察して、普段の様子から変化があるかを見てみましょう。

1.業務上の変化

業務中にも、ストレスサインを発見できます。業務効率が著しく低下していたり、ミスが増加していたりするなどの変化が現れている場合は、メンタルヘルスに不調をきたしている可能性が高いです。

また、ひとりで仕事をしたがる場合も、ストレスサインかもしれません。全部自分で仕事を抱え込もうとしていたり、報連相をしなくなったりしたときは、優しく声をかけてみましょう。

さらに、普段と比べて整理整頓が雑であるときや、デスクの上が散らかっているとき、業務の優先順位がつけれなくなっているときも、ストレスから周りに気を配れなくなっています。

2.行動の変化

ストレスを溜めすぎると、行動の変化が顕著に出ます。遅刻や早退、欠勤が増えたときは要注意です。

ヒゲを剃らなくなったり、服のシワや汚れがそのままになっていたりと、身だしなみが乱れるという兆候もあります。女性の場合であれば、普段メイクをしていたのにメイクをせずに出社するようになるなど、身だしなみに気を配れなくなっているときは、ストレスサインです。

このほかにも、イライラが多くなった、批判的な言動が多くなった、ひとりごとが増えた、ボーッとしていることが多くなったなど、さまざまな行動の変化が現れます。

部下と食事によく行っているなら、食べる量や飲酒量もチェックしてみてください。極端に食事量が増えたり減ったりしている場合や、飲酒量、喫煙量が増えている場合も要注意です。

3.対人面の変化

対人面の変化は、普段仕事を一緒にしている部下ならわかりやすい変化でもあります。例えば、いつもはよく話すのに、極端に口数が減ったときや、普段はおとなしいのに、よく話をするようになったなどが挙げられます。

話しているときに目をそらしたり、人付き合いを避けようとしたりしている場合は、注意して見ておくようにしましょう。

また、他者からの評価を恐れ、人目を極端に気にするようであれば、一度話を聞いてあげてください。

4.感情の変化

自分を否定するようなマイナス思考や悲観的な言動が増えた場合は、ストレスサインかもしれません。

憂うつそうな表情で出社しているときや、不自然なほど明るく振る舞っているときも要注意です。

退職したい、遠くへ行きたいなどの逃避的な発言が増えている場合は、退職を考えているほど追い込まれているので、早急な対策が必要といえるでしょう。

5.体調の変化

食欲不振、めまい、疲労などの体調不良を、部下から頻繁に訴えられているとき、それはストレスサインかもしれません。

見た目に分かるほどの急な体重の増減や、常に睡眠不足状態にあると予想できる場合も極度なストレスを抱えている可能性があります。

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部下のストレスサインに気付いたときの対処法

先ほど紹介した、部下からのストレスサインに気付いたときは、早急に対処しなければなりません。ここからは、具体的にどうすれば良いのかについて解説します。

声かけ

部下のストレスサインを目撃したら、まず声掛けは必須です。声かけとはいえ、突然「大丈夫?」とストレートに話しかけるのはよくありません。なぜなら、「大丈夫?」と聞かれれば「大丈夫です」と反射的に答えてしまうからです。

心配していることを伝えながら、部下が話しやすい質問の仕方をしてあげましょう。

例えば、「ちょっと表情が暗いのが気になったんだけど、昨日の夜はどうやって過ごしたの?」と聞けば、部下の時間外勤務の状況や交友関係、食事、睡眠などを聞き出せる可能性が高いです。

話をしているうちに、部下も心を開いて悩みごとを打ち明けてくれるかもしれませんし、部下が置かれている状況をより深く知ることもできます。

面談

勤務時間内に、面談時間を設けるのも良い方法です。面談であれば、プライバシーを保った環境下で傾聴できます。

面談で注意しなければならないのは、評価も助言もせず、共感しながらただ話を聴くようにすることです。

面談の目的は、自身で対応できるか、他部署や産業医への連携が必要かを判断するためのものなので、解決策の提案などはしないようにしましょう。

業務や社内の調整

部下のストレス原因が、仕事量が多いことや責任感のプレッシャーによるものであれば、仕事量を減らしたり、一時的に目標設定を下げたりして、極力残業させないように気を配りましょう。

必要であれば、自分以外の誰かをサポートにつけるのでも構いません。リフレッシュさせるために、有給休暇をすすめてみるのもおすすめです。

誰かにサポートを依頼する場合は、メンタルが不調である理由など、詳しいことは漏らさないように気を使ってください。

もちろん、自分ひとりで対応しようとはせず、人事部などへ相談し、産業医などの専門家への連携を行うと安心です。

ストレスチェックなどのシステム導入を検討しましょう

社内で従業員のメンタル不調をチェック、サポートできるシステムを導入することで、休職、退職などのリスクを避けられます。

多くの人が仕事に対してストレスを抱えている可能性が高いため、自分と部下だけの問題ではなく、メンタルヘルス対策は会社全体をよくする取り組みです。

メンタル不調に素早く気付ける職場環境を構築することで、会社全体の業績向上への期待と、企業価値向上への期待が生まれます。

メンタルヘルスケアに本気で取り組みたいなら、東京ビジネスラボラトリーに、ぜひご相談ください。

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まとめ

会社がメンタルヘルスケアに取り組むことは、優秀な人材を失う機会を減らすだけでなく、生産性を上げることにもつながります。

今一度、メンタルヘルスケアへの取り組み方を真剣に考え、企業価値を向上させていきましょう。