形だけになっていない?新入社員研修の内容の考え方とは

新入社員を受け入れたあとに新入社員研修を行うのは、どの企業でも当たり前の風習となっています。しかし、新入社員研修というのは、単なる風習のためにするのではなく、意味をもって実施しなければ、その後の業務につながらないのです。 ここでは、新入社員研修がなぜ大切なのか、そしてどのようなカリキュラムを組めば意味を成すのかを解説します。


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【明確にしよう】新入社員研修のカリキュラムが大切な理由

新入社員研修は、多くの企業が実施していますが、そのカリキュラムはさまざまです。本来の新入社員研修の最終目的は、1人の社会人として、配属先での業務を円滑に遂行できるようにすること。

ビジネスマナーや社会人としての基本行動を学ぶほかに、どのような目的を持って研修内容を組むべきかを解説します。

個人のスキル・知識をつけるため

今後の業務を遂行していく上で必要となるスキルや知識を身に付けなければ、仕事はスタートできません。

呼び名はそれぞれ異なっているものの、一般的には、「リテラシースキル」と「テクニカルスキル」を身に付けるべきであると考えられています。

リテラシースキル

リテラシースキルは、業界や業種を問わず、どのような仕事についても必要とされる能力を指します。

例えば、円滑な人間関係の構築にはビジネスマナーが必要です。言葉遣いはもちろん、身だしなみや名刺の交換方法、電話の応対など、幅広く学びます。

そして、パソコン研修も近年では、ほぼ必須のリテラシースキルとなりました。業種によっては実施することの多いプレゼンテーション研修も含まれます。

このようなリテラシースキルに関する研修は、1〜2日程度の短期間研修を終了した後、実際に業務を行いながら身に付けていくことが多いです。

テクニカルスキル

テクニカルスキルは、業務で必要となる専門的な知識やスキルを指します。

例えば、営業職であれば、自社が取り扱う商品や、サービスに関する専門的な知識です。実際に販売や提案をする際の知見についても学びます。エンジニア職であれば、言語技術のスキルや情報セキュリティに関する知見がテクニカルスキルに含まれるでしょう。

後に紹介するOJT制度を使って、実際の業務にあたる中で習得を目指す企業も、最近ではよく見られます。

自社の理解度を深めるため

企業によって大きく目的や内容が異なるのが、自社の理解度を深めるための新入社員研修です。

企業理念や価値観、事業の目的など、社員に求めることは何なのか、会社のことを深く知ってもらうことを目的として行います。

実際の業務に取り組む前に、社内での役割をしっかりと理解してもらうことで、円滑に業務が遂行できるようになるのです。

しかし、この研修は、企業そのものの理念だけでなく、年度によっても変化していく場合が多いので、伝える側の工夫が必要となるでしょう。

企業人としての自覚を持つため

新入社員研修では、先に述べたようなマナーやスキル研修が重視される傾向にありますが、もっとも肝心なのは、それらに取り組むモチベーションとなる企業人、社会人としての自覚を育てることです。

新入社員のほとんどは数ヶ月前まで学生であった、新卒者が多いでしょう。学生のころは、コミュニケーションを取る相手を自由に選べていたため、自然と自分に合った人としか付き合いをしません。

しかし、社会に出れば状況は大きく変化し、さまざまな人と仕事の中でコミュニケーションをとる必要があります。

そのため、まずは新入社員が自身の立場を理解し、業務への姿勢を身につけることが大切です。さらに、コミュニケーション方法を学ぶことで企業人としての成功が期待できます。

これらを、新入社員研修では「ポータブルスキル」の獲得と呼ぶことがあります。ポータブルスキルは、課題や仕事の処理対応能力に関係する対課題力や、行動や考え方を自分でコントロールできる対自分力、他人と円滑にコミュニケーションが取れる対人力の3つに分けられます。

新入社員研修では、これらの能力を発揮する観点や実践方法を学ぶことで、社員自身が業務への姿勢をつくることができ、企業人としての第一歩を踏み出すことが出来ます。

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【組み合わせて効果的に】新入社員研修の一般的な内容とは

新入社員研修の方法には、さまざまなものがありますが、これらのうちのどれかひとつだけを実施すれば良いというものではありません。

効果的な研修にするためには、いくつかの組み合わせが必要です。

OFF‐JT

OFF-JTとは、「OFF-The Job Training」のことで、業務から離れた環境での研修を指します。講師や社内担当者による座学やビデオ研修などを用いて、実務に必要な基礎知識をインプットしていきます。

OFF-JTでは、一般的なビジネスマナーをはじめ、自社の事業理解や商品理解など、全員に必要な内容を伝えることがオーソドックスです。

OJT

OJTは、「ON The Job Training」を指し、実際の業務を経験する中で、実践的に仕事の流れを体感できる方法です。現場で即戦力になるスキルを育成するのに向いています。

これまで就労経験がない新入社員の場合、仕事内容を説明しても具体的なイメージができないことも多いですが、OJTを導入することで、業務の流れを体感し理解することが可能です。

また、社内の対人研修では、トレーナーとして新入社員の指導にあたるメンバーにとっても、企業人としてのあり方を改めて学べる機会になっていることが多いです。

このとき指導者にあたるメンバーへ「トレーナーとしてのあり方」の教育や研修が実施できていると、取り組む新入社員研修の内容も一人ひとりに響く、より効果的なものにできるでしょう。

ワークショップ

ワークショップは、新入社員に課題を出し、1人で思考し解決させたり、グループワークやディスカッションをさせたりして、情報を共有します。

例えば、討論のテーマに対してひとつの結論を導かせたり、実際の業務で起こる可能性がある問題を提示し、解決まで導かせたりします。

企業によって、提示する課題はさまざまですが、コミュニケーションの活性化を狙ったものやプレゼンをさせるなど、ユニークな方法を用いる企業も多いです。

ロールプレイ

ロールプレイは、専門的なスキルを向上させるために用いられる研修で、実際に業務にあたっていると想定した役割で、さまざまな考えを理解できる方法です。

接客業であれば、お客様対応や電話対応など、実際の業務をリアルに再現し、実践していきます。

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【どう改善するか】新入社員研修をより良くする3ステップ

どんなに綿密に考えて新入社員研修のカリキュラムを組んだとしても、何かしらの問題が発生することがあります。

これまで行っていた新入社員研修をより質の良いものにしたい場合や、今後新入社員研修を新たに導入する場合は、以下のポイントも意識してみてください。

1.フォローアップを素早くする

もし、面接時と研修時の雰囲気がかけ離れていると、新入社員の不安は大きくなるでしょう。

まずは、新入社員の不安を取り除くために、質問をしやすい雰囲気や環境づくりを心がけます。すぐ質問できる環境にしておくことで不安は解消され、早期離職を防ぐことにも役立つでしょう。

新入社員は、さまざまな希望や不安を抱えて入社しています。研修の理解度やモチベーションも十人十色なため、様子を見ながら伝え方を変えるなど、新入社員のタイプ別にコミュニケーションを取ることも必要になります。

これまでに多くの社員が感じている疑問やつまずきは、あとで問題点となって見えてくるので、素早くフォローアップできる体勢を整えておきましょう。

2.現状の研修にある問題点を洗い出す

今後の新入社員研修をより良いものにするため、研修後の新入社員にアンケートをとったり、講師やフォローアップをしている社員に話を聞いたりして、情報を集めましょう。

部署内で挙がった新入社員への疑問点も汲み取って、今後の研修に何が必要なのか、何を取り入れれば新入社員の不安がなくなるのか、問題点を洗い出してください。

3.研修形態を見直す

現状の問題点を解決するには、今までと同じ方法で行っていては、いつまで経っても解決できません。

もう一度研修形態を見直し、すべてを内製もしくは、外注にするのではなく、専門的なスキルや企業の理念、ビジョンは内製化、そのほかは外注するなどして工夫してみましょう。

新入社員研修で、もっとも難しいのは、社会人としての対人力・対自分力をつける研修です。東京・ビジネス・ラボラトリーなら心理学のメソッドを応用した内容のセミナーで、社会人としてのマインドセットを図ることができます。

どこから改善していけば良いかわからない場合も、企業が抱えている問題を徹底的にヒアリングし、根本からの解決を行っています。
当社の新入社員プランなら、企業の目標やビジョンに合わせて、その企業にとって必要な新入社員研修を柔軟にコーディネートできます。

TBLは、心理カウンセラーが仕事力・判断力を養うため、メンタルヘルスの面からサポートし、丁寧な研修をお約束します。企業研修にお悩みの場合は、ぜひご相談ください。

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まとめ

新入社員研修の内容が効果的でない場合、人材が育たないだけでなく、早期離職にもつながります。しっかりと内容を精査し、外部にサポートを依頼することで、より良い研修が行えるでしょう。

人生は選択の連続です。すべてのことを自分が選択していると自覚し、責任能力をもった人材を育成していきましょう。