在宅勤務でメンタルヘルスに不調をきたしてしまう原因
最初に、在宅勤務中でメンタルヘルスに不調が起きやすい原因を解説していきます。
在宅勤務は通勤の手間がかからず、慣れた場所でリラックスしながら仕事ができるのが魅力で、新しい就業形態として注目されています。ですが、テレワークならではの問題点があることも否定できません。
在宅勤務をきっかけに気持ちが不安定になる、体の不調を引き起こして仕事ができなくなるなど、いわゆる「テレワークうつ」と呼ばれるメンタル面の不調を訴える人が増えています。
在宅勤務は今後もますます普及していくことが予想されています。在宅勤務が従業員のメンタル面に与える影響や問題点を、ここでしっかり理解しておきましょう。
仕事とプライベートのメリハリが無くなるため
在宅勤務でメンタル面の不調が起きやすい原因のひとつは、仕事とプライベートのメリハリが無くなるからです。
在宅勤務はスーツに着替える必要がありません。通勤の手間もかからず自由な働き方ができる一方で、オフィスのような人目が無いぶん時間管理が難しいのは困りものです。
そうなるとだらだらと仕事を続けてしまうのは良くあることで、業務効率が悪くなり、残業時間が無駄に増えてしまいます。なかには就業時間がずれ込んで、昼夜が逆転してしまうケースも散見されます。
こういった生活の乱れは自律神経に負担をかけ、メンタルヘルスの不調を招く精神的な疲労を蓄積させる要因です。
慣れない環境に対応できないため
在宅勤務という慣れない環境に適応できないことも、メンタル面の不調を引き起こす一因でしょう。
自宅は慣れた場所でも、基本的に仕事をするために作られた空間ではありません。業務に必要な機材や事務機器が無いぶん、思うように仕事がはかどらないと焦ってしまいます。
リモートワークに欠かせない社内チャットツールなど、ネット機材が思うように使いこなせないと悩む人も多いでしょう。ツールに慣れていても自宅ではネット環境が悪く、業務量に対応できないとノルマがこなせません。
環境が変わったことで今までスムーズにいっていた仕事が進まないのは、かなりのストレスです。手間取ることに落ち込んだり、時間がかかることにイライラしたりと、気分が不安定になりがちなので注意が必要です。
孤独に感じてしまうため
在宅で仕事をすることで孤独感にとらわれてしまうことも、在宅勤務中にメンタルヘルスの不調を訴える原因のひとつです。
在宅勤務では家にこもりきりになり、人に会う機会が極端に減ります。特に一人暮らしの人の場合は誰とも会わない、話さない孤独な日々が長く続き、寂しさから気分が落ち込んでしまうのも仕方がありません。
おしゃべりは気分転換やストレス発散の手段でもあります。同僚や上司との交流が無くなってしまったことで自分の仕事や将来性を不安に感じて落ち込み、体調を崩してしまう人も増えています。
在宅勤務時にできるメンタルヘルスケア
上司としてできる、在宅勤務中の部下に対するメンタルヘルスケアの方法を紹介していきます。
在宅勤務に起因するメンタルヘルスの不調は、企業の業績に悪影響を与える深刻な問題です。在宅勤務ならではの問題点を改善するきめ細やかなケアで、部下の心の健康をサポートしましょう。
就業時間の管理をする
在宅勤務中の負担を減らすためにも、上司が部下に代わって就業時間の管理をすることをおすすめします。
残業を大量にしている社員がいないか、勤怠管理ツールなどを活用してチェックすると良いでしょう。自由な働き方ができる在宅勤務のメリットとは矛盾するものの、企業の最低限の業務管理は必要不可欠です。
仕事の指示を出す際に、あらかじめスケジュールを組んでおくと安心です。決まったスケジュールに沿って仕事を進めれば良いと分かれば、部下の感じるプレッシャーもやわらぎます。
在宅勤務時のルールを作る
在宅勤務時のルールを作って部下と共有しておくことも、メンタルヘルスの不調を防ぐのに効果的でしょう。
特に報・連・相のルール作りは重要です。在宅中の連絡が頻繁だと業務が差支え、間隔が空きすぎると従業員が不安になりがちではないでしょうか。
こういった混乱を避けるためにも、簡単な確認や相談はチャットでする、急ぎの用事は電話でするなどのルールを決めておくと良いでしょう。ルールを決めることで仕事がスムーズに進み、部下が感じるストレスを減らせます。
また、上司に質問をしたいときに、いつ質問をしたら良いのかわからないと悩む人もいるでしょう。在宅勤務で顔が見えないと特にタイミングがはかりにくいですよね。
勇気を出して質問をしても「いまは忙しいので後にしてほしい」などと言われてしまうと、次はいつ話しかけたら良いのか悩んでしまい、結局なかなか質問できないということもあるでしょう。
そのようなときにも、ルールが決まっていると余計な気を遣うことなく、質問を投げかけることができます。
コミュニケーションを取る機会を増やす
孤独に陥りやすい在宅勤務だからこそ、コミュニケーションを取る機会を増やすことも大事です。
社内チャットなどを通じて朝礼や終礼をするなど、職場内の一体感を高める工夫をしましょう。希望者を募って、オンラインランチ会なども開催するのもおすすめです。
定期的にオンラインで個別面談をするのも効果的です。部下の悩みや現状をしっかり聞くことで異変の早期発見につながり、対応しやすくなります。
メンタルヘルスケアを成功させるためのポイント
在宅勤務中のメンタルヘルス対策を成功させるポイントを紹介していきます。
健康管理は企業が押し付けるだけでは、良い結果が得られません。本人に健康管理に取り組ませることも大事です。
大切な部下が在宅勤務でも健康で実力を発揮できるよう、上司としてのスキルアップも目指しましょう。
セルフメンタルヘルスケアを促す
在宅勤務中は部下に対して、自主的なセルフメンタルヘルスケアを促す必要があります。
在宅勤務中は上司や周りの目がどうしても行き届かないため、上司側から呼びかける対策を取るだけでは不十分です。健康を守るためには本人の自発的な行動が必要不可欠です。
テレワーク中でも時間を決めて休息をしっかり取る、適度な運動を取り入れるなど、具体的な方法を指示して健康管理を呼びかけると良いでしょう。
また、心理カウンセリングは、自律性を高めることにもつながります。
自律性を高めることによって、自分自身をコントロールしやすくなるでしょう。
これはテレワークで仕事をする上でも大切で、自律性を高めることにより指示待ちではなく自走して仕事ができるようになります。
セルフメンタルヘルスケアを促すことによって、このような思わぬ副産物も得ることができるのです。
メンタルヘルスのための知識を身に付けるための研修を受ける
部下に適切なメンタルヘルス指導をするために、自分自身のスキルアップを図るのも選択肢のひとつです。専門家の行う研修を積極的に受けて、心理学に関する知識を身に付けましょう。
個別懇談などにおいても、上司がメンタルヘルスの知識を有しているほうがより良いサポートができるのはいうまでもありません。
在宅勤務で時間に余裕ができたこの機会がチャンスです。職場のプロフェッショナルとして、心理学を学ぶ時間に充ててみてはいかがでしょうか。
東京・ビジネス・ラボラトリーでは、社内向けに研修を行っています。オンラインでも対応可能なので、在宅勤務をしている企業様にもおすすめです。
また、一社一社各社のためにオリジナルの研修内容をご用意しているため、要望に応じて対応することができます。
在宅勤務中の部下のモチベーション維持に悩んでいる方、在宅勤務を機に心理学を学ぶことを検討しているなら、どうぞお気軽に東京ビジネスカウンセラー学院にご相談ください。
まとめ
在宅勤務で部下にメンタル面の不調が起きることは、職場にとって大きな損失です。最悪の場合は人員が減り、業績悪化にもつながりかねません。
在宅勤務中だからこそ、適切で迅速なメンタルヘルス対策を心掛けることをおすすめします。